「はぁ…はぁっ…」


キーンコーンカーンコーン…


ぎりぎり間に合った。

乱れる息を整えながらカバンを置いて席に着く。


そのとき。


「…顔、真っ赤だけど」


……え?


「寝坊?荻野さん」 


それは突然だった。

突然隣の席のきみが、息を切らせて顔を真っ赤にするうちに話しかけてきたのだった。


ふっと、横を向いた。



…きみはほんの微かに笑っていた。