「はい、ついた」
ぽんぽんと、うちの頭を二回撫でて海斗くんはカバンを手に取る。
「ありがとう海斗くん…助かった!」
「ん。ほら急ぐぞ?」
うちにかばんを渡してさっさと歩いていってしまう海斗くん。
なんか、
うちより背がずっと高くて。
背中がとても広い。
普段お兄ちゃんみたいで幼なじみだけど、なんか男の子なんだなぁって思った。
それに、すごく温かかった。
唯一の、身近に感じる男子の存在。
…って。
こんなこと考えてる場合じゃない。
自分が遅刻寸前であることを思い出し、少し小さくなった海斗くんの背中を走って追いかけた。
朝日の中。
今日も透き通った風が吹く。