あれ、二人乗りってしていいんだっけ?
お巡りさんに見つかったら捕まる?
真面目な杏里はそんなことを考えていた。
…でも時間は刻々とせまっている。
手段を選んでいるヒマはなかった。
もうこうなったら仕方がなかったのだ。
しかも海斗くんだから。
海斗くんなら安全運転だって信じてるよ、何の根拠もないけど。
そんな言い訳を頭の中にズラリと並べながら、うちは海斗くんの自転車のうしろに乗った。
「落ちんなよー」
「落ちないしっ! 海斗くんこそ落とさなちでよね~っ」
「は? 杏里のくせに何言ってんだ~」
「しっかり掴まってるからいいもーん」
「とにかく急ぐぞっ」
「うわあっ」
海斗くんがいきなら自転車を飛ばすからほんとに落ちそうになり、もう気づいたら必死で海斗くんにつかまっていた。
…なんか、海斗くんといると楽しいな。
みんな海斗くんみたいな男子ばっかだったらいいのにな。