「お~杏里じゃん、おはよ」

「海斗くん!」


海斗くんとは、隣の家の石井海斗くん。

うちの1つ上で、小学生のときから同じ学校。

つまり、幼なじみ。


だから海斗くんだけは心を開ける唯一の男子。

貴重かつ大切な存在。


「お前遅刻すんぞ~」

「だから急いでるんじゃんっ!!」


杏里が走るその横を、涼しい顔をして自転車に乗っている海斗くん。

「しょーがねぇな、後ろ乗せてやろっか」

「え!? うそ!」


乗せてくれるの!?