小6になるとクラス替えがあり、田中くんの噂なんかとっくに消えて、杏里の周りには再び友達が集まった。
しかしもう、杏里は心を開けない。
恋愛なんてもってのほかだった。
クラスの女子とは表面だけだが仲良くできた。
しかし男子とは話そうとしなかった。
小6でも1度、他のクラスの男子に告白のようなことをされたが、はっきりと断った。
もう嫌だった。
一人になるのが怖かったし、好きでもない男子のせいで女子の友達を失うのだけは勘弁だと思っていた。
いっそのこと中学受験して女子校にでも行こうかと思ったほどだ。
だがすでに時遅し。
小4から塾に通って努力していなければ受かるはずもない。
しかしそれほど、杏里は男嫌いになっていた。