それから杏里はぼーっとしていた。
告白なんて初めてされて。
田中くんのことが頭の中をぐるぐるしていた。
しかしそれから少し経った頃。
また新たな噂が流れ始める。
「杏里ちゃんってさぁムカつくよね」
「田中くんの気持ちもてあそんでるんでしょー?」
「告白されたのに無視とかありえない~」
田中くんを好きだった女子たちがこんなことを言い出した。
そしてそれは噂となって、さらにあることないこと付け足されて、みんなの耳に入ることになった。
それから冬休みが明けても、杏里の周りには友達が少ない。
杏里と仲良くすると男好きとか思われる。
そんなことで、杏里はハブられていた。
元凶の田中くんは杏里の返事がないからあきらめたらしく、別のクラスの女子に告白して付き合い始めていた。
冷たい世界。
誰も本当のことなんか見ようとしない。
そもそも、恋愛が悪かった。
杏里はそう思っていた。