彼の言ってる事は正しい。
私が彼を信じ切れてなくて…逃げたんだ。
あの時、彼からの電話に出て…正直に話していたら…。
「絢」
「…………はい」
彼は立ったまま…
「今日限りで、お前を解放してやる」
「へ?」
「お前の秘密も見なかった事にしてやる」
「え?」
「だから、これで終わりだ」
「えっ……ちょっ…」
顔を上げると彼と視線がぶつかった。
彼の瞳は……もう…………
優しい慧くんでは無く、
出会った時より、
もっと冷たい瞳をしていた。
もう、私の言葉に耳を傾けてくれる気配すら無い。
「じゃあな」
「………」
彼は私の前から去って行った。