ブラック王子に狙われて①




『最後のチャンスをくれてやる』


俺は悪魔のカウントを始めた。


彼女は条件反射で慌て始める。


フッ。まだ身体に染みついてたか。


コレって結構効くもんなんだな。


彼女はどうしたらいいのか分からない様子。


まぁ、俺だってどうなるか分からない。


初めはただ慌てるコイツが面白かっただけ。


いつからか…コイツのアクションに感動するようになり。


俺はカウントする事でコイツの本心が見えるような感じがして


いつの間にか……恋の指標と思うようになっていた。


そして……今日も………。


俺は別に“3秒”なんて一言も言って無いのに。


彼女は悪魔の魔法にかかったかの如く


たった3秒で俺の胸に


  “ 好 き ”


と言いながら…飛び込んで来た。


俺が毎日夢にまで描いた…


  “彼女のぬくもり”


そして…


彼女……市村 絢……は、


俺の本当の恋人になった。





皆様こんにちは、蓮条です。


『ブラック王子に狙われて』


をご覧下さり、本当にありがとうございました。




蓮条菌に感染中の患者様ならお分かりかも知れませんが……


この作品は、今までの中で1番“俺様&クール”なメンズを起用しました。


えっ!?まだまだ足りないって?


……次があるならもっと頑張ります(笑)



今までは、甘々・極甘・激甘…路線1本でしたが、


これで少しは変わった路線も開拓出来ましたかね?


……すみません、作者の身勝手な欲望です。




余談ですが……


“P99のメール再読シーン”


私は自分で書いておきながら…


チェックする度に涙がポロリ…


ついつい、絢に感情移入してしまいました。


…………はい(-"-)


私は涙もろく、感動屋のウザい人間です(笑)





そして、“Side 慧”のお話。


当初は10ページくらいにするつもりが…


アレ? あっ…これも……


と、欲張った結果がアレです。


これで短編イケるんじゃないか?


そんな邪な考えがチラつきました(笑)




とにもかくにも…


自己満足の為に書いた作品に最後までお付き合い下さり、


心より感謝申し上げます。



そして、日々…私を応援して下さり、


支えて下さるファンの皆様、


本当に本当にありがとうございます。



最後になりましたが…


この作品を読み終えた皆様に、


ほんの一瞬でも心に響く1フレーズがあります事をお祈りして…




2012.9.3  蓮条



≪追記≫

この作品は、

日頃応援して下さる蓮条菌の患者様へ

9月度のサプライズプレゼントとして、

ご用意させて頂いたものになります。




とある日。



「おいっ、絢…早くしろ」

「だって、急に言われても…」



俺らはウチの母親が来るつもりでいたスパリゾートに来ている。

昨日になって、急な葬儀が入ったとかで…

既に予約済みという事もあり、

母親に押し付けられ…現在に至る。



「終わったか?」

「ちょっと待って」

「ったく、先行くぞ?」

「えっ…すぐ済むから…」



施設内は何処でもフリーで使用出来るらしく、

母親の計らいでエステをキャンセルし、プールと食事にして貰った。


…で、今。絢はフロントから渡されたバッグの中に最低限必要な物だけ入れるように指示され…

あれこれ選ぶのに手間取ってる。
っつうか、プールに入って食事するだけなら別に悩む事なくねぇ?


「はいっ!!これで…大丈夫!」

「お客様は…他にございませんか?貴重品などお忘れになりませんように」

「あぁ…大丈夫です。俺の貴重品はコイツなんで」

「!!//////////」



俺が絢の頭に手を置くと、これでもかってくらい赤くなった。

フッ。やっぱ、絢を弄るのはヤメらんねぇ。



「ほら、絢…行くぞ?」

「えっ…あっ…うん///////」





ったく、アイツまだか?

いつまで俺を待たせたら気が済むんだ?

俺はプールの入口で待たされている。



「…ぉ…ま…た……せ…」



声がした方へ視線を移すと―――――!!



「おっ、遅ぇよ……」

「ご、ごめんなさい……」

「い、行くぞ」



絢は紺地に白のドット柄のワンピース水着を着ていた。

ビキニでは無いので目のやり場に困るワケでは無いが…

それでもやっぱり……照れる。



「け、慧くん」

「ん?」

「へ…………変?」

「別に」

「………」



手を掴んで歩いてる俺にはコイツの表情が見えない。

俺様に聞いといて何なんだ?



すると、絢が急に立ち止まった。



「ん?どうした?…絢」

「やっぱり、慧くんも胸の大きい子が良いよね?」

「は?」

「ご、ごめんね?私……」









…っんだよ、そんな事かよ。

胸が小さいから気にして出て来るのが遅かったのか。

俺はコイツと初めて出会った日から…

コイツの悩みを知っている。

………今さら……。


無言の絢の手を引いて、温水プールに入る。

それでも絢は黙ったまま。



「絢?」

「………ん?」


流れるプールに入っている俺らは…

流されるままに流され……




俺は絢の腰を抱き寄せた。



「キャッ!!」



そして……


絢の耳元で………




「別に世の中の男全員が、巨乳好きってワケねぇだろ」

「え?」

「俺は初めから貧乳って知ってるしな」

「っ!!もう!!パシッ」

「痛ってぇなぁ。何すんだよ!」

「貧乳って言わなくたっていいじゃないっ!」



絢は膨れて……泳ぎだした。




ったく、しょうがねぇなぁ…。

女って…どうしてこうも面倒くせぇんだ?



俺は先の方へ泳いで行った絢を追って…



「おいっ、絢!!」

「何ッ!?何か用?」

「はぁ?お前、俺様が追って来てやったんだぞ?」

「頼んでません!ほっといて!」

「放っておけるか!」


周りの男連中の視線が…

絢はパットで誤魔化してるから…

男連中には貧乳って分かんねぇんだろうな。


俺は絢の腕を掴み、お腹側から腰を抱き寄せ、



「1人で泳いでたら、ナンパされんだろうが」

「貧乳の子なんて、誰もナンパなんてしないわよ!」

「フッ、バーカ。お前は胸が無くたって、十分可愛いっつうの」

「はっ!?な、なっ、何言ってんの?///////」

「フッ。そんなに胸にコンプレックス持ってんなら、俺が大きくしてやるよ」

「っ!!////////バカ、バカッ、バカッ!!」

「おっ、バカって言ったな?お仕置きだ!!」

「キャッ!!っんッ!!//////」




俺は顔を真っ赤に染めて俺を見上げる絢を、

他の男に見せたくなくて……

桜色の小さな唇に……


そっと口づけをした。



~Fin~

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