その日、俺はある人物と待ち合わせしていた。

その人物とは、エミである。

ちなみに今は駅前。

なに?、それはデートの待ち合わせかって?。

答えはNOだ。

笑わない女と俺の間にそんな特別な関係なんて生まれるはずがない。

今日は、文化祭の買い出し。

学級委員の俺は自分の責任として、そしてエミは単位の補習のかわりにこの買い出しのメンバーに選ばれたわけだ。

と、そんな事を考えていたらエミが来た。

学生の買い出しらしく、今日は二人とも制服だ。

「……」

俺の横にエミは並ぶが何も言わない。

遅れてきたのだ、一言くらい何か言えよ!。
と、心の中で毒づくも、俺も小心者なのか、何も言えなかった。

「じゃあ行くか…」

「うん……」

横に並び、俺はエミの歩調に合わせる。

ていうかこいつ歩くの遅いよ!。

さっきからちらちらと俺達を見る目線を感じる。

そうか。

周りは俺達をカップルと思っているんだな。
とんでもない!。

第一、俺とこいつの間に人間らしい意思の疎通や感情なんて皆無だからね。