だけど。

無性にこいつの顔に変化を与えたい。

こいつを笑わせたいなんて思ってしまった。
「おい、山月、タコ焼きでいいか?」

売店の前でそんな事を聞く。

そんな質問にもこいつは返事をしない。

でも、こうなったら自己満足でもいい。

こいつを、この文化祭の賑わいに巻き込んでやる。

そう思った。

「ほれ、熱いから気をつけて食べろよ!…」

「……」

手を引いて校庭に用意してある椅子に座らせてやる。

「………」

ただ、タコ焼きを見つめるエミ。

こいつは今何を思うのだろう?。

「冷めちまうぞ!、タコ焼きっていうのは冷めたらまずいからな…」

そんな言葉に、それまで反応の無かったエミがこちらを見る。

「な、なんだよ?。まさか、タコ焼き嫌いっていうんじゃないだろうな?」

「違う……どうして?…」

「どうしてってなんだよ?…」

初めてエミから会話をしたいという意志を感じた。

今までで初めての事だ。

「どうして…、いつも私の事気にしてくれるの?…」

「どうしてって…」

言葉に詰まってしまう。