岩永と別れてから校内を歩く。

なかなか山月が見付からない…。

あいつ、何処にいるんだ?。

あいにく今日は学校中人だらけだ。

この中で一人の人間を見付けるのは一苦労だった。

あいつが行きそうな場所、行きそうな場所?。

山月は騒がしいのは普段からあまり好きそうじゃなかった。

そうなると、行く場所は限られる。

特に今日みたいな日には、何処に行ってもそういう静かな場所は見付からない。

でも、そんな中で一カ所だけ、その条件を満たした場所に覚えがあった。

三階の中央の階段を上る。

その先には一つしか扉はなく、その扉の先は。

屋上だった。

屋上を左右に見回す。
思った通り人影はない。

たった一人を除いては…。

その人影の長い黒髪に見覚えはあった。

だから、その人影にゆっくり近付く。

なんとなく、足音をさせないようにしながら近付く自分がいて、何でそんな事をしているのか滑稽だった。

「良い天気だな…」

「………」

語りかけたわけではないが、何のリアクションもない事に多少ショックを受ける。