岩永。

何でそんな真剣な顔してるんだ?。

「どういうって…、なんていうかさ、あいつって天然みたいっていうかさ、だからほっとけないっていうかさ…」

そうだよ。

この前だって、少し話したけど、なんていうかよく分からないけど、あいつから俺が一緒の時は目を離しちゃいけないような、そんな気がしたんだ。

「本当にそれだけ?…」
「ああ…、それだけだよ…」

俺は嘘はついていないはずだ。

そう、嘘はついていないはずだ。

「この前、うちのクラスの子が山月さんの家の前で、山月さんと武文君が話してるの見たって聞いた…」

「それは、あれは、カトケンから頼まれたプリントをあいつの家に持って行っただけだ」

「本当にそれだけ?…」
「俺とあいつにそれ以外の関係があるように見える?…あいつは笑わない女なんだぜ」

「それなら…」

岩永の顔が急に自分の顔面に近付いてくる。
「私の目を見て…」

「……」

ちょっとどっきりしたのは本当だ。

だけど、それを悟られるのが嫌で、格好悪い所を見せるのが嫌で、目を離さない。