少しだけ流れが変わった。

だけど、まだ点差は埋まらない。


「攻めろ!!
もう時間がない!!
とにかく点を入れろ!!」


鳴瀬先輩の声が響く。

先輩はもう汗だくだ。


ふと栞奈の方に目をやると、心配そうにこっちを見ていた。


……ここで負けられない。

約束したから。


誰よりも大切で……誰よりも大好きな人と。


「っしゃ……やるぞ」

「栞奈ちゃんパワー解禁ですか」

「うるせぇよ」


蓮は俺がどこに視線をやってたか分かってたみたいだ。


……でも。

蓮の言う通りかも。

栞奈に応援されると……栞奈に見られてると何か力が出せる気がする。


ストバスで谷先輩と1on1したときも

秀華戦のときも。


……不思議だ。


それだけ栞奈のことが好きなのかもしれない。

なら、尚更負けてなんかいられない。

男の意地だ。