「私、私!、あなたが好きです。付き合って下さい!…」

その言葉に笹山君の顔が曇る。

分かっていた。

分かっていたのだ、笹山君が他の子を好きな事は。

いつも近くで見ていたから、分かってしまった。

「ごめん、俺、他に好きな人がいて、だから…、山谷さんの気持ちに答えられない」

だから、その答えも分かっていた。

それは未来予知でもなく、ただ、ただ、避けられない現実。

「話、聞いてくれて…、ありがとう!」

その言葉は分かっていたはずなのに、どうして、私の心は潰れてしまうのだろう。

ただ、彼の顔を見る事が出来ず走り出す。

「山谷さん!」

後ろから声が掛かる事も分かっていた。

でも止まれない私は何処に行くの?。