そう仮説をまとめた所で、何故そうなったのかという話になるのだが。

｢怪しい露店…｣
｢怪しい露店…｣

二人の声は完璧にハモっていた。

｢あなたもあの露店からお守り貰ったの！？｣

｢もしかして沢口さんもですか？｣

｢ふぅー｣
｢ふぅー｣

今度は何故だか、溜息までハモってしまった。

｢じゃあ、やっぱりこれのせいなんだね…｣

お互いに全く同じお守りを取り出すと見せあう。

｢これ、返品したら元に戻れるかな？…｣

沢口は、そんな裏腹な言葉を言う。

何故なら、今朝、野村と話した記憶が中々消えないからだ…。

元に戻ったら、私はまた振られた私に逆戻りなのに、本当にそれでいいのか、そうな風に沢口は自問自答する。

｢分からないです。でも、あの露店にもう一度行かないと…｣

そんな山谷も心に秘めた思いがあった。

やっと欲しかった美貌を手に入れたのだ。

例え、それが他人の身体だとしても、この身体は笹山が好きな沢口なのだ。

それが我が儘だと分かっていても、夢を見るくらい、それくらい構わないじゃないかと思うのは当たり前だ。