正直、本当に助かった。

前を歩く学生に距離をおいてついていく。

あまり近付きすぎて
話し掛けられても、私は沢口さんじゃないから、沢口さんと思われて声を掛けられても今は対処のしようがない。

それから10分くらい、距離はつかず離れずで歩くとようやく自分でも道が分かる場所まで出て来られた。

「ふぅー…」

おもわず、思い切り溜息。

とりあえず、これからどうすればいいだろう?。

とりあえず…。

とりあえず、今は玄関で待つしかないんじゃないだろうか。

直感じゃないけど、私の身体、学校に来たりしないかな。

魂がないのに歩いていたら、それこそホラーだけど。

うん。

とりあえず、玄関のはじで目立たないように待っていよう。

もし来たら。

怖いけど話し掛けよう。

学校に着いてから、決めた通りに玄関はじで待つ。

しばらくすると校門のほうから女生徒が歩いてくる。

見覚えのある、その顔は間違いなく。

昨日までの山谷亜由美だった。