気になった事があって、聞こうと思ったが、それからはどれだけ声を掛けても返事をしてくれなかった。

私は仕方なく家に帰る事にした。

「あら、おかえりなさい!」

玄関を開けたら、玄関の掃除をお母さんがしていた。

「あ、うん、ただいま…」

さっきまで泣いていたから、顔を見られるのが嫌で、顔を背けながら挨拶して一気に靴を脱ぐと階段を駆け上がる。

「亜由美!、どうかしたの?」

階段を上る私に後ろからお母さんの声。

「なんでもない、心配しないで…」

その声に、そう言うのが精一杯だった。