ついには自分の恋愛を否定する。そんな自分が嫌で心の自問自答を避けるように耳を塞ぎながら座りこんでしまう。

それから、私は下校時刻の校内放送が聞こえるまで、ただ、うなだれていた。

帰り道、涙は枯れても心は晴れない。

いつもの帰り道、商店街、全てが別物に見える。

失恋したら、いったいどうやって自分のこの気持ちを癒したらいいのだろう。

今、自分が一番心に痛みを持っている。そう思った。

そう思わせるだけの失恋、初恋だった。

楽しく話をしていた記憶が、記憶だけが、涙腺を刺激するのだけれど、やっぱ涙は枯れて一滴も出ない。

「おはよう!山谷さん!」

おはようの一言がどんなに私は嬉しかったのか。

「また明日、山谷さん!」

またって一言がどれだけ貴重な事か。

失って気がついた。

私は、私は、大馬鹿だ。

勉強なんて出来たって、意味ないのに。

「願いを叶えたいかい?…」

突然の言葉は、枯れたはずの目から一滴の涙が流れたその瞬間に聞こえた。

「願いを叶えたいなら、こっちにおいで…」

「私…、ですか?」

「そうだよ…」

大きな黒いローブを着た女性がこっち、こっちと手招きをしていた。