「夢?」
璃菜は私の話を聞くと、不思議そうに首を傾げた。
「うん、しかも毎回同じところで目が覚めるの・・・」
「・・・夢の中の服装とか、覚えてる?」
璃菜は私の少し先を歩きながら聞いてきた。
「うーん・・・。……あまり鮮明じゃないんだけど、今世界史でやってるマリー・アントワネットみたいな服」
要するにドレスね、納得したように頷き、うーんと唸る璃菜。
「べ、別に深く考えないでいいよ? ただの夢だし」
この親友は一度悩むと意識がトリップしてよくぶつかる癖があるのだ。
「そう?」
璃菜は顎に当てていた手を降ろし、くる、と此方を向いた。
「乃愛がそういうのなら、あまり考えないようにするね」
美しい微笑で言われ、いつも見ている笑顔なのに、何処か懐かしさを感じた。