…………早い、過去の記憶の波に翻弄される。
「乃愛! しっかり!!」
アンネさんの声が、私に聞こえる。
「ノアさん! こっちです!!」
ロワさんも、それに追従する。
今視えるのは、初めて璃菜に出会った日のこと。
「…私が、貴方を×××て上げる」
今思えば、この時から既に璃菜は璃菜ではなかったのかもしれない。
・・・でも、私はそれでも構わないと思う。
だって、例え璃菜が違う璃菜でも、私は彼女を好きになっただろうから。
「今の貴方の意識を探すの!」
「そして言うんです! 今の気持ちを!!」
・・・遠くから、何処か悲しげな顔をした女の子が此方にやってきた。
?「……私」
その陰鬱そうな顔をした子は、璃菜に出会う前の私だった。
「お姉ちゃん、誰?」
気が付けば、アンネさんとロワさんはもういなくなってた。
「……お姉ちゃんが探してるのは、この子?」
すっ、と一枚の写真を差し出す私。
「・・・っ!?」
それは、この間璃菜と撮った写真だった。……が、璃菜がいない。
『過去が変われば、未来も変わる』
(もう、璃菜がいた記録はないんだよね)
うん、私はその、璃菜がいた時の写真を強く握りしめ頷いた。
「…このお姉ちゃんを、……今の私を、返してっ!!」
陰鬱そうな顔をした私は、少し驚いた顔になり、少し笑って
「いいよ」
パチンッ、手拍子の音と共に視界が真っ暗になった。