「……じゃあ、いくよ?」
ロワの隣で、同じように剣を構えていたイザヤ(私にとってはイザヤだ)は私に対してそう問い掛けた。
「うん、いつでも大丈夫」
「乃愛さん、痛くない?」
私の腕を掴んでいるアンネさんは言うと、少し泣きそうな顔になった。
「大丈夫だよ! ・・・さぁ、思い切りやって?」
今からやるのは、私の記憶を改変するための儀式。
「・・・でも、ノアさん、こんなの・・・」
ロワさんはもう泣き出してしまっていた。
「大丈夫だよロワ、……母上に鍛えられた俺の剣を甘く見ないで欲しいな」
「でも・・・っ」
「……さぁ、貴方達、準備はいいかしら・・・?」
目から大粒の涙を流すロワさんを見兼ねたのか、アンネさんは厳格な声音で言った。
「……はい、母上」
「っ・・・うん、……イア……」
「……大丈夫だよ、璃菜」
三者三様の返事で、三者三様の想いで、私達は応える。
「せーのでいくわよ?」
呼吸を数える、
1
2
3
「……せーのっ!!」
目映いほどの光が、私の体を包んだ。