「近々、隣国の王子と正式に婚約させられるかもしれない」
ロワ様から発せられたその一言が、俺の平穏だった生活の終わりを告げた。
遂に、母と兄貴の陰謀が動き出したのだ。
「……隣国の王子は、とても横暴な方だと聞いております……」
辛うじて、そう返すのが精一杯だった。
……
・・・当たり前だ、……まさか俺がその横暴な男の、隣国の王子の弟だ、なんて言える訳がない。
「……兄様は、とても横暴な方ですが、・・・私を、大切にしてくれるの」
違う。それは違うんだロワ様。
貴方はただ利用されていただけ、母と兄貴の道具にされてただけなんだ。
嗚呼、なぜ選りに選って今日なんだ。
俺は、俺は折角今まで築いて来た地位も母と兄貴の信頼も全て捨ててロワ様と生きることを決めたのに…
ロワ様をあんな奴に渡したくない。
ロワ様は俺が守る。
……ロワ様を守る方法を探している時に見つけたのが、『エトワールの奇跡』だった。