「おはよう」 母さんはいつも通りの白いエプロンでそこに立っていた。 「ん、今日も元気そうね♪」 母さんは悪戯っぽい顔で笑い、奥へと促した。 「……サラエル……」 「え?」 「サラエルは?」 「え?」 母さんの二度目の疑問の声に私は我に帰った。 「乃愛……?」 「…………なんでもない」 そう、ただ頭に浮かんだセリフ(名前?)を口走っただけなのだ。 「そう・・・?」 母さんは怪訝そうに言うと、キッチンへと姿を消した。