「200年前」




私の記憶が正しければフランス革命が起きた時代だ。


「…………200年前の私って、どういうこと……?」


ロワさんも知らなかったのだろう、考えるのを止め、此方を見ている。


「言葉通りの意味です」


イザヤはあくまでも冷静に淡々とした口調で言った。


「ロワ様は、貴女の世界から200年前の貴女なのです。……最近、夢をみることはありませんか?」


「夢・・・」


聞かれて思い浮かぶのは、此処最近ずっと見ているあの夢だ。


「・・・川原か何処かで犬の散歩をして、誰かにぶつかる夢なら……」


とつとつと言うと、イザヤはやっぱりとでも言いたそうな顔付きになり


「ロワ様、覚えがありますよね?」


急に話を振られたからだろう、ロワさんは困惑したように、は、はい、と答えた。


「えと、この間ですよね? お父様、お母様に秘密でフロウの散歩に出たあの日…」