今日から五年生!!

高学年になるってだけなのに、身が引き締まる思い。
身が引き締まるってわりには、まぁ太もも何て大根ですけど…

身体はともかく、心はシャンとしようと思う。

とりあえず今は、四年生の教室に一旦集まり、クラス発表の後、五年生の自分のクラスに移動となる。

だから、まだ四年生の時の教室で先生を待つ。

勉強難しいかなぁ〜

先生、早く来ないかなぁ〜
ぼーっと空を見上げていると、

「…って雪ちゃん!!話聞いてる?」

「えっ?えへへ(汗)」

「あっ。笑って誤魔化した!もぅっ。同じクラスになれたら良いねって言ったの!」

親友の椿が私の顔を覗いて言った。

話を聞いていなかった私はとっさに視線をあわせることが出来なかった。

えっ?同じクラス?

「私何て椿ちゃんと同じクラスになれなかったら、算数のテストヤバいよ!」

言ってから、事の重大性に気付く。

「はぁー。心配はそっち?薄情者。」

「私にとっては重要だもん。そう言えば、テレビで偉い政治家が言ってたよ?足し算、引き算かけ算、わり算が出来れば何とかなるって!!」

雪は、拳を握り力強く振り上げる

「はい、はい。小学生のうちからそんなこと言ってどうなるの」

呆れた様子の椿はおざなりに答えた。

そんな感じのお喋りしていると、先生が教室に入ってきた。

「今からクラス発表をします。それが終わったら、速やかに教室移動すること。発表します。」

「…。一組。鈴木雪。三組。染井…」

へー、私三組何だぁ〜。

「武井椿。三組」

うそっ椿ちゃんとおんなじクラスだ!

嬉しくて後ろの椿ちゃんの方を向くとピースする。

すると椿からもピースが返ってきた。

「和田祥。三組。」

えっ、あいつも三組な訳!?
椿ちゃんと一緒って分かった時とは、違うドキドキを感じて、胸元を抑える。

どうしよう。すっごく嬉しい…

自然と笑みが顔いっぱいに広がった。

いけないっ!一人でニヤニヤしてたら変に思われちゃうっ!!

焦り、うつむいた。




五年生の教室への教室移動が終わり、新しい担任の先生の到着まで、クラス内はざわざわしていた。

教室内には、同じクラスになり喜び合っている者達や、友達と離れ寂しそうな者など反応は色々だった。

雪は椿と同じクラスになったことを喜び合っていると、祥が雪に近づいてきた。
さっきまで、友達と喜び合ってたのに、どうしたんだろう?

「おい、鈴木。」

「えっ何?」

いきなり名前を呼ばれ、雪はドキドキしていた。

「お前、さっき苦しそうに胸おさえてたけど、大丈夫か?」

嘘っあれ見れてたんだ!

心配してくれたんだ…ちょっと、ううん、かなり嬉しい…

雪は真っ赤になった。

しかし、言葉に出たのは、感謝の言葉ではなかった。
「心配されなくても大丈夫だしっ」

祥はムッとした表情になり
「あぁ、そうかよ!ムカつく奴っ」
と言い、去って行った。

やっちゃった!!

「あ。」

良いながら、思わず、しゃがみこむ。

「雪ちゃんって、素直じゃないんだから…」

事の成り行きを傍観していた椿が言った。

後悔しても遅く、

「嫌われたかな…」

雪の呟きに椿は応えてくれなかった…

クラス発表の一日は、そうして過ぎていった。