「うわぁっ!ありがとうございますっ!!」
鍵を受け取って、そのとき初めて気がついた。
……あ。“先輩”だ。
視界の隅に入ってきたのは、明らかに1年生とは違う色のジャージ。
うわぁ…
くるみってば、見ず知らずの先輩になんてご迷惑を……
「あのっ…」
姿勢を正して、ちゃんとお礼を言おうとした…とき。
「あ…これも。」
「……へっ?」
「あげる。今、見つけた。」
ポン、と、くるみの掌に置かれたのは……
四つ葉のクローバー?
「“幸せ”が訪れますよーに!」
びっくりして顔を上げたくるみに、にっこり微笑んだ先輩。
「……っ」
う…わぁ……
その瞬間、
くるみの恋が始まったの。
「新一っ?何やってんの?早くしろよ~っ」
「今行くーっ!」
グラウンドに戻って行く、“王子様”の後ろ姿を見ながら願った。
“また、会えますように”
*End*