「……何、してるの?」
放課後の中庭。
鍵を探していたくるみの傍に、転がってきたサッカーボール。
「何か探してるの?」
それを取りに来た男の子にふいに声をかけられた。
「鍵…なくしちゃって……」
答えながらも、視線は地面に落としたまま。
「鍵?どんなやつ?」
「自転車の…鍵。いちごのすずがついてる……」
「いちご?」
それを聞くなり、スッと、その男の子はくるみの隣にしゃがみこんで。
そのまま地面に手を伸ばした。
……え?
「…あー。これは結構大変だね。」
言いながら、ガサガサとクローバーたちを掻き分ける。
もしかして、一緒に探してくれるの?
「……あっ!」
数分後。
突然の声に、振り返ってみれば……
「ハイ、これでしょ?」
目の前に差し出されたもの。それは、まさに、
「あーっ!」
くるみが落とした鍵だった。