「……っ」



そういう問題じゃない…でしょ?



「だから…」


じりじりと近づいてくる、くるみの顔。


「わーっ!ちょっ…待っ……」


それを慌てて制して、
俺はその小さな身体を引き離した。


「……なんで?」


不満気に口を尖らせたかと思うと、


「新ちゃんは…したくないの?イヤなの?」


今度はうるうると瞳を潤ませるくるみ。


「いや…そうじゃなくて……」


「じゃあ、いいよね?」


再び近づいてくる顔……って、


「ダメっ!…あ、キスがダメなんじゃなくて、場所が…ここじゃダメ。」


「えー…?」



またもや、むーっとなるくるみ。

でも、何かを思い付いたかのように、すぐにパッと顔を輝かせると、



「じゃあ、今から新ちゃん家に行ってもいい?」


突然の提案。


「……うん?」


「わーい!ついでに泊まってもいい?」


「うん…って、えっ?」


「明日はお休みだし…
朝まであれば、余裕で1週間分を取り戻せるよね?」


「……なっ」












俺の“春”は
まだ始まったばかり。



「楽しみだなぁ。」



きっとずっと
この“お姫様”に振り回されることだろう―――