「早速だけど、お願いしてもいい?」



ちょこんと首を傾げて、ねだるように俺を見上げたくるみ。

その姿は、文句なしに可愛らしい。



「え…うん?」



だから、俺はほとんど無意識に頷いてしまった。

さっき…そんな話、してたよな?確か。



「本当?じゃあねぇ……」



にこにこと、嬉しそうに笑った…かと思うと、



「……キスして?」



いつもの“可愛らしい”からは一転。妖艶で熱っぽい視線で俺を捉えた。



「……え?」



急速に早まる鼓動。

……また、だ。

反則だよなぁ。
“使い分ける”なんて。



「くるみ、もう限界なの。だから、早くキスして?」



限界、って……



「1週間分、ね?」



言いながら、さりげなーく俺のほうに腕を伸ばしてきて……ぐいっと引き寄せられる顔。



「ちょっ…なっ…ここで?」


中庭の片隅とは言え、校舎からは丸見え。

普通に、部活中の生徒だっているし……



「大丈夫。誰も見てないから。」



きょろきょろと視線を泳がせる俺に、自信満々なくるみのフォロー。

……いやいや。



「集中しちゃえば、気にならないよ。」