「くるみ、電車通学なんだけど、お家から駅までは自転車なのね?」
くるみは説明し始めた…らしい。
微妙に話が飛んだような気がするのは、決して気のせいじゃない…よな?
「それでね、あの日は、お昼休みにここで友達とご飯を食べてたんだけど…」
……ほら、また。
話の脈絡なんて全く気にしないくるみは、あくまでマイペース。
まぁ、こういうのにもだいぶ慣れたけどさぁ。
「そのとき、落としちゃったみたいなの。」
「……何を?」
「自転車の鍵。」
「へぇ…」
そこにつながるのか。
「帰るときに気づいて…放課後、1人で探してたの。そしたら……」
なぜかパッと顔を上げて…くるみはまっすぐに俺を見つめた。
「新ちゃんが来た。」
……へっ?
「そして一緒に探してくれて…見つけてくれた。」
俺…が?
「そのとき一緒に、四ツ葉のクローバーもくれたでしょう?」
「え……?」
「そのときから、新ちゃんはくるみの“王子様”なんだよ?」