「痛~っ」



ドカッと、今度は思いっきり足で押しやがった。

なんて暴力的なやつ。

でも……



「さんきゅ。」



やっぱり“いいやつ”なんだよな。


みんな、勝手なイメージでいろいろ言ってるけど、本当の慎也はこういう男だ。


根本的なところは、何も変わっていない。

仲が良かったあの頃、と。


だから、俺はコイツを嫌いにはなれないんだ―――






「……あ。」


中庭に向かって走り出そうとしたとき。

ひとつだけ、気になっていたことを思い出した。



「なぁ、慎也」


振り返ると、


「……あ?」


何かあんのか?いいから早く行けよ!…と言わんばかりに顔をしかめる慎也。



「お前さ、


くるみのこと好きなんだよな?」


「……はっ?」


「ごめん、俺…「バーカ」


「……へっ?」



……違うのか?



「俺は“コドモ”には興味ないし、子守りをするほど暇じゃない。」


きっぱりと否定すると、


「あれは、お前にやるから。一生面倒みてやれ。」


再び、俺の背中を押しやった。