「それを、どっかの誰かは見事にカンチガイしてくれちゃったみたいで……」
「……っ」
「どうしてくれんの?
“くるみが元気ない”って、俺、毎日兄貴に責められてるんだぞ?」
「……ごめ、ん。」
慎也の鋭い視線に怯んで、反射的に謝ってしまった。
いや…本当に俺が悪いんだけど、さ。
「はぁーっ…いいや、俺はいいから。とりあえず、お前はくるみに謝れ。」
「えっ?」
「アイツ、ここんとこ、ずっとおかしかったからな。毎日、泣きそうな顔で笑ってたし。」
「……っ」
「理由聞いても言わないから…まぁ、原因はお前だろうとは思ってたけど」
……やっぱり。
俺は、くるみを傷つけてたんだ。
勝手に勘違いして、
勝手に疑って、
勝手に離れて……
くるみは、何にも悪くないのに……
「アイツはさ、最初からずっと“お前が”好きなんだよ。」
「……え?」
「利用されてたのは俺のほう。」
「……は?」
「アイツが俺に近づいてきたのは、俺がお前の従兄弟だって知ってから…だもん。それまでは、話したことすらなかったんだぞ?」