「ごめんね?今日は一緒に帰れないの。」



眉を下げて、申し訳なさそうに謝るくるみ。



「ものっすごく大事な用事があってね?どーしてもダメなの。」


「……いや、別にいいけど?」


「ごめんねっ?」



なんでそんなに必死なのかよくわかんないけど。


……よかった。それだけ、か。


俺はほっと胸を撫でおろした。





――昼休み。


いつものように教室へと現れて、なぜか切羽詰まった顔で俺を連れ出すもんだから……

何事かと思った。


頭をよぎったのは、最悪の事態。


最近、なぜか無性に不安になることがある。


胸騒ぎって言うか……


よくないことが起こりそうな予感……

梅雨が近いから、かな?




「それでね、」



ここは、何とか準備室。

人気もなければ、滅多に人も来ない。

最近まで、あることすら知らなかった。


でも、どうやらくるみはお気に入りのようで……



「今日の分、今してほしいの。」