「……“春”だねぇ。」
向かいの席で頬杖をつきながら、帰り支度をする俺を眺めていたカズヤ。
「桜も終わって、世間は新緑の季節へと移行中だと言うのに……
新ちゃんは、今がまさに“満開”だもんねぇ」
しみじみと…でも、明らかに楽しそうに呟いた。
「なんかこう、発せられるオーラが違うもんね?
“幸せ”がにじみ出てるって言うか…ねぇ?」
「ああ。ピンクって感じ。」
「ピンクって…モトが言うと何かイヤらしい響きだけど、確かにそうかも」
モトキも交えて、また勝手に盛り上がってるし。
「あんなに疑ってかかってたくせに、今じゃすっかりラブラブだもんなー。」
「新一は単純だからな。
“好き好き”言われて積極的に攻められりゃ、簡単に堕ちるって。」
「だよねーっ。
あんだけ可愛い子が毎日隣にいたら、そりゃ好きになっちゃうよね。」
……っ。コイツらっ。
でも、さすがだ。
ムカつくけど、言ってることは見事に当たっている。
だって……
「おっ。噂をすれば…可愛い彼女のお出ましだ」