「……っ」
そんなにまっすぐな瞳で、自信満々に言われたら…もう何も言えないよ。
一体、何がどうなって、
俺が“王子様”に変換されてしまったのかはわからないけど……
「さ、とにかく桜を見ましょ?せっかく来れたんだから。」
彼女の中ではそういうことになっているらしく。
「先輩、早く~」
今さら変えることは不可能みたいだ。
だったら……
「うわぁっ。キレイ。」
この笑顔を、素直に受け入れるしかない…のかなぁ?
「わーっ。すごぉい!写メ写メ!」
咲き誇る桜の中、嬉しそうに走り回る彼女。
ちっちゃい身体でちょこまか動き回る様子は、本当に“小動物”みたいだ。
無邪気と言うか……
微笑ましくて可愛らしい。
見てたらなんか、いろいろ考えるのがバカバカしくなってきた。
「ぅわっ。」
突然、サーッと柔らかい風が吹いたかと思うと、ピンクの花びらがふわふわと宙を舞い始めた。
「“桜吹雪”だぁ。」