「え?」



俺の質問に、一瞬だけきょとんとしたものの、



「あれ?私、言いませんでしたっけ?」



すぐに理解したらしく。



「入学したときから、知ってますよ?」


「……えっ?」


「去年の春、桜が咲く頃に初めて会って…それからずっと見てましたから。」


「へっ?」



去年の春…って、1年前?


……え?えーっ?



「あー、でも、
探すのに結構時間がかかっちゃったから、もっと短いのかなぁ?」



思考が追い付かない俺のことなんておかまいなしに、彼女は続ける。



「先輩は覚えてないかもしれないけど…1年間?ずっと“片想い”してたんですよ?」



……信じられない。

って言うか、本当に全然覚えてないし。

人違い…じゃないのか?



「何度も告白しようとは思ったんですけど、ね。何せ初めてのことなので、なかなか勇気が出なくって」



……でも、嘘をついているようにも見えない。



「でもね、会った瞬間から先輩は“くるみの王子様”だったんです。」