「……なんで?」
不思議そうに首を傾げるカズヤ。
「なんでって…だって、普通に考えてそうだろ?」
これと言った取り柄もなくて。
すべてが平均的で。
地味なわけでもないけど、目立つわけでもない。
俺の名前を聞いて、みんなの頭に思い浮かぶのは、“慎也の従兄弟”ってことだけ。
みんなが見てるのは、“俺”じゃなくて、俺を通した“慎也”なんだから。
慎也のことを抜きにして、俺に用がある女の子なんているわけないじゃん。
「……新ちゃんってさぁ。」
聞き終えると、
「アイツが絡むと、とことんネガティブになるよねぇ。」
カズヤは呆れたようにため息をついた。
「もっとさぁ、明るく行こうよ?春なんだから。ね、モト?」
「ああ。お前は素材は悪くないぞ。ただ、アイツに敵わないってだけで。」
「そうそう。新ちゃんは、“中の上”…いや“上の下”くらいのレベルには入ると思うよ?」