授業の間は、ずっとぼーっとしていた。
10年前のことをつい考えてしまう。
あのアオイくんの柔らかい瞳に優しい手のひら。
それから、一瞬の寂しそうな顔。
10年経ってもあの時のことはどうしてか忘れられなかった。
あの、蓮田くんがアオイくんだったら…。
わたしは、どうするんだろう。
あの時のお礼をする?
どうして何も言わずに帰っちゃったのか聞く?
何でもうお祭りに来なかったのか聞く?
ああ、もう分からんっ!
「…ぃ。―おい、…ま。瀬島っ!」
名前を呼ばれていたことにびっくりしてぱっと顔をあげる。
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