それからだ。

牧村が明らかに広瀬を避け、二人の間がギクシャクし始めたのは。



そして、ここ一週間ほど、広瀬が、オレに「どうすればいいと思う?」と聞いてくる。



オレに聞くな、と言っても、広瀬は一時間も経てば、忘れて、また聞いてくる。



広瀬が焦っているのは分かる。

広瀬が牧村を大好きなのも、大切に思っているのも分かる。



だけど、どうすればいいかなんて、オレに分かるはずがない。



「もっと、恋愛経験豊富なヤツに聞けよ」



広瀬は顔が広い。

幼稚部から、杜蔵学園だってだけじゃなく、たぶん、人付き合いがうまいんだ。



「いくらでも、友だち、いるだろ?」

「だって、こんな話したらぜってー笑われるし、下手したら、次の日には学校中のネタになってるだろうし」



……なるほど。



「まあ、学校公認カップル破局って言えば、確かにネタとしては面白いな」



広瀬は傷ついたような、情けない顔をした。



「斎藤まで、それ言う?」