ドリブルで前へと進む。

だけど、高山くんが前に入る。

残り、10秒。


翼くん、翼くん……っ。


さらにドリブルで前へと進もうとした瞬間、高山くんとぶつかって後ろへと倒れる。



あたしは、思わずギュッと目を瞑った。


その瞬間


「7番も、アイツも譲る気なんかねぇよっ!!!」



翼くんの声が、耳に入った。

目を開けば、体制が後ろへ倒れながらも、ボールを放つ瞬間。



そして、そのボールは、



ゴールへと吸い込まれた。



《ピーーーーー》


終了の音が、体育館の中で響き渡る。

体育館は、歓声でいっぱいだった。