《ピッ》
若葉ちゃんが上にボールを上げる。
そのボールをキャッチしたのは、高山くん。
そして、それと同時にタイマーが動き出す。
時間は、5分。
高山くんが、ドリブルで前へと進む。
そのスピードは、翼くんには劣るけど、股の下を通したり、後ろでボールをついたり、スキルは全然劣ってなんかいなくて。
手から離れたボールは、ゴールへと吸い込まれていく。
体育館の中がざわめく。
気づけば、他の部活の人たちまで見入っていて。
けど、そのざわめきを沈ませるかのように、
翼くんは、スリーポイントラインから、ボールを放つ。
そのボールは、どこにも触れずに、ただ……ネットを通った。
