職員室を出て、あたしは駆け足で教室へと戻った。




まだ、伝えてなんてなかった。

翼くんに、自分のキモチを言ってない。



あのとき……


『んで、泣くんだよ……』

『ごめっ……』


泣きたいわけじゃなかった。

謝りたいわけでもなかったんだ。



本当に言いたかったのは、




“好き”




たったその二文字。