あたしは弾かれたように教室を飛び出した。



後ろから驚きの声やどよめきの声が聞こえる。



あたしは止まることなくただひたすら走った。



そして、あたしの好きな場所に来た。



そこは………………見晴らしのいい音楽室のバルコニー。



あたしが琉斗に告白された場所。


琉斗が初めて手を繋いでくれたところ。

抱き締めてくれた、プレゼントをくれた。



あたしに…………キスをしてくれた場所…………。


「っつ………」


見晴らしのいいこの場所はあたしのお気に入り。


なのに、あたしの気分は良くなるどころか黒くなっていく。



いつも、この場所に来れば何もかも忘れられる。


真っ黒になった心を真っ白にしてくれる。


だけど………………。



なんでだろう。



今日はどんどん視界が霞んできてる。


白くなるどころか余計に黒くなる……………。