その瞬間、彩海は俺に背を向けて走り出した。
「彩海!!!!」
俺は女の手を振りほどいて走った。
このまま追いかけなかったらダメなような気がした。
何故かはわからなかった。
だけど……………彩海を追いかけたかった。
ちゃんと話をしたかった。
俺は、彩海のことを好きだって伝えたかった。
玉砕が覚悟の告白。
当たり前だ、俺は彩海のことを傷付けてる。
だけど、気持ちを伝えられるだけでもいい。
彩海と…………もう1度だけ話したい。
彩海と付き合ってた頃の笑顔が最後だとしても良い。
もう1度だけ見たい。
そのまま俺は身体中の力をあるだけ使って彩海を追いかけた。