この右手の薬指にある指輪は、琉斗があたしと付き合って1ヶ月の時に買ってくれた。


琉斗とお揃いのあたしの大切な指輪。



だけど、琉斗はいつも『手』にはつけてくれない。



チェーンに通して首から下げているだけ。


どうしてつけてくれないのか1度だけ聞いたことがある。



でも、あたしは聞かなかったことにしたのを覚えてる。


琉斗があたしに言った言葉。


それはあたしの心に消えないでいる。



『俺が指輪なんてつけてたら色んな子がビックリするだろ??』


笑顔で琉斗はあたしにそう言った。


色んな子って『女の子』??


どうして『指輪なんて』って言ってしまうの??


あたしにとっては指輪の存在は『特別』なものだと思っていた。


あたしはただの『夢見る女の子』??


その言葉を聞いたときからあたしは琉斗に何も聞かなくなった。





それでも、あたしは琉斗がネックレスとして持っていてくれていることに嬉しかった。



だから、あたしは琉斗と一緒にいても辛くない。



あたしと琉斗の間を結んでいる『指輪』があるから。