「なぁ、ユリ。俺と付き合ってよ!!!!」
クラスに響き渡るぐらいに大きな声を出しているのは。
あたしの彼氏でもある女たらしの琉斗。
「ねぇ!!!!またやってるけど良いの!?!?」
そうあたしに語りかける親友の梓紗。
あたしはそんな2人の声を聞きながらいつもお決まりの言葉を言う。
「あたしは琉斗を信じてるから。」
告白してきたのは琉斗の方だった。
あの女たらしの琉斗が顔を赤らめて…………。
『俺、彩海の事が好きなんだ。俺と付き合ってくれる??』
あの表情は今でも忘れられない。
琉斗のことは入学式の時に知った。
琉斗の茶色の髪が1番あたしの印象に残っていた。
いま思えば琉斗にあの時から恋していたのかもしれない。
ふと、目の前に梓紗が居ないことに気が付いた。
「梓紗??あれ??」
もしかしてトイレかな??
あたしは琉斗のことを見た。
まだ、あの『ユリ』ってこと喋ってるんだ…………。
あたしは右手の薬指につけている指輪に視線を落とした。