「当初…本当は香苗先輩が、ボーカルだったんだ。んで俺がギター。だけど、やっぱり俺じゃ力不足だったんだよ。先輩はもう、モニターの向こうで歌ってて、俺はココ。実力の差って事だろ?」

ハハッと笑う結城は自暴自棄になっているようで。
無意識に、頭をぎゅっと抱きしめていた。

「…茉優…?」

「結城は、すごいよ。
だって私は自分が将来何してるか、なんて何も考えてない。
けど、結城は夢に向かって…確実に進んでる。」

一筋の、涙がこぼれた。