どくん。

瞳が私を通り過ぎて、遠くを見てる。
寂しい目。
私はこの目に抗うことができない。

「………っ、返しなさいよ!」

乱雑に財布を押し付け、
教室を飛び出す。

何故か、共感のように
自分までも寂しくなった。

そうか、私は恋人未満だからか。
彼女だったらきっと
何でも打ち明けてくれる。
一番じゃないんだ。
結城には私以上があるんだ…。