えっ?は?
み…美途…?
信じられないが、この顔と声…絶対に美途だ。
いつも2つ結びだったのをおろしてて雰囲気違ったけど…確かに美途だ。
死体を確認したわけじゃないし、可能性はある。
「っぁ、すみません。」
美途は顔色一つ変えずに去っていこうとした。
は?ちょ…美途じゃねーの?
「っちょ!!おい、待てよ。」
俺は気がついたら彼女の腕を掴んでいた。
「なっ…何?」
彼女は冷たく俺を見下す。
「お前…美途だろ?釘宮美途!!」
「え…違いますけど。あなたとは初対面ですし、私の名前は伊藤架恋です。」
「は?伊藤架恋?ふざけんな。」
俺は彼女の腕を握った手を強く握りしめる。
「いたっ…離してください。叫びますよ?」
え……――
あの優しい美途とは正反対な性格…。
俺は驚いて彼女の腕を握っていた手の力をゆるめた。
そして彼女は腕を振り切り去っていった。
俺が見たのは…
美途だと思った。
でも…あの子は本当に伊藤架恋なのか?
俺はあの子の顔が一日中頭から離れなかった。