「僕の名前は久城明久。湊丘高校の二年生だ」
「・・・はぁ」
「きみは?」
「来年高一の、山下こよみ。・・・頑張って湊丘より上の高校いきますね」
「うん、きみ頭良さそうだしそのほうがいいかもね」
「・・・それも、正論ですか」
「うん、僕の考えではないけどね」
その人は、とても不思議な雰囲気を持った人だった。
とてもおおらかで、なんでも許せてしまえそうな無邪気な笑顔。
だけど
それと裏腹に、
とても繊細で、すべてを背負っていて、気を抜くと壊れてしまいそうな笑顔。
私は、それに
一瞬でも、惹かれていた